
珠洲市でZEN大学生企画の「お年寄りでもできるダンスワークショップ」を開催!
2025年7月21日、石川県珠洲市にて、ZEN大学のダンスサークルおよび地方創生サークルが主催する「海の日ダンスワークショップ in 珠洲」が開催されました。
このワークショップは、「能登のために何かできることをしたい」という強い想いを持ったZEN大学の学生たちが、全国各地から集まって実現したもので、「誰でも楽しめる、やさしいダンス」で人と地域をつなぐことをテーマに掲げています。
当日は、珠洲市の高齢者の皆さんを対象に、椅子に座ったままでもできるダンスプログラムが行われたほか、地元住民と学生の交流コーナーも設けられ、笑顔と温かなふれあいに包まれた一日となりました。
※ワークショップの開催概要はこちらをご覧ください!
お祭りマンボにあわせてオリジナルの振り付けで健康ダンス!

ダンスワークショップでは、ご高齢の皆さんにも馴染みのある、美空ひばりさんの「お祭りマンボ」に合わせて、元気いっぱいのダンスが披露されました。
リズムに乗せて、体を伸ばし、ひねり、動かして──夏の暑さにも負けず、皆で笑顔いっぱいに汗を流しました。
この振り付けは、「どなたでも座ったまま楽しくできる」をテーマに、ダンスサークルの学生が中心となって考案したものです。珠洲市の皆さんに、楽しみながら心も体も元気になってほしいという願いが込められています。
ワークショップ参加のお礼に上原輝恵さんのバレエを披露

ダンスの後には、ご参加いただいた珠洲市の皆さんへの感謝の気持ちを込めて、上原輝恵さんによるバレエ「白鳥の湖」が披露されました。
上原さんはバレエ留学の経験もあるダンサーで、皆さんは初めて間近で見る本格的なバレエに目を輝かせながら見入っていました。
バレエを通じて珠洲市のお年寄りと交流
実際に使用されるトゥシューズやチュチュに触れていただきながら、バレエの用語や舞台の裏話も交えて交流を深めていきました。
初めて手にするトゥシューズやチュチュに、皆さんは興味津々。さまざまな質問が飛び交う中、上原さんは笑顔で一つひとつ丁寧に答えていました。
ダンスの後は皆さんと手作りカレー
ダンスワークショップの後には、珠洲市の皆さんから心のこもった手作りカレーを振る舞っていただきました。
地元で採れた新鮮な野菜がふんだんに使われた美味しいカレーを、参加者全員でテーブルを囲んで楽しくいただきました。
開催のきっかけとなった上原さんの想い・ワークショップを終えて
以上がZEN大学生主催の珠洲市ダンスワークショップでした。
最後に、今回の珠洲市のダンスワークショップへの想いをダンスサークル上原輝恵さんに代表して語っていただきました。
▼今回のワークショップ開催の想いは?
このイベントは、被災地域の皆さんの心身のケアを願い、「私たちにできることを、少しずつでも形にしたい」という学生たちの切実な想いから生まれました。
企画のきっかけは、私自身の体験にあります。2024年1月の震災当時、私は帰省中に被災し、何もできないまま東京に戻らざるを得ませんでした。あのときの無力感が心に深く残り、それ以来ずっと“何か力になりたい”という思いを抱え続けてきました。
今回、ご縁があって珠洲で少しでもお手伝いをさせていただけることになり、ようやく自分なりの一歩を踏み出せたように感じています。この個人的な体験が、今回のワークショップ開催に向けた大きな原動力となっています。
▼ワークショップ開催の背景は?
能登半島地震の後、震災の影響により、地域の人口がさらに減少し、人と人との交流も少なくなっている現状がありました。メディアでは復興の「きれいな部分」ばかりが取り上げられ、時間の経過とともに能登のことが忘れ去られてしまうのではないかという危機感を強く抱いていました。
そんな中で、「それでも能登を想い、自ら足を運ぶ若者がいる」という事実を、現地の方々に知っていただきたい。そして、それが少しでも希望や励みにつながってほしいという願いが、このワークショップ開催の原点にあります。
私たちは、学生ならではの若さと活力を地域に還元し、高齢者の皆さんに体を動かす楽しさや、新たな交流の場を提供することで、健康の増進や生きがいづくりをサポートしたいと考えました。
今回の活動は、私たちにとって初めての挑戦でした。だからこそ、地域の皆さんの声にしっかり耳を傾けながら、無理のない形で少しずつでもお役に立てるよう、寄り添う姿勢を大切に心がけました。
▼上原さんと能登半島の縁は?
私は東京出身ですが、父の実家が七尾市にあり、赤ちゃんの頃から定期的に能登を訪れてきました。都会の生活に疲れたり、心が塞いだときには、いつも能登に帰って心を癒していたのを覚えています。
能登は、私にとって心の原風景であり、今の私をかたちづくるうえで欠かせない大切な場所です。
今回は、合同会社焼塩エイミー様とのご縁により、珠洲市での開催が実現しました。能登半島地震で大きな被害を受けた珠洲市から立ち上がった合同会社焼塩エイミーとの連携を通じて、震災からの復興に向けて、地域全体が支え合う意識を高めるきっかけになればと願っています。
また、会場として使用するのは、閉校となった旧上黒丸小学校です。この場所を地域コミュニティの新たな拠点として活用する事例を示すとともに、思い出のつまった学校で交流を深める意義も、この取り組みに込めています。
▼開催して嬉しかったことはありましたか?
ワークショップを通して、参加された高齢者の皆さんが心から楽しんでくださり、自然な笑顔を見せてくださったことが、何よりも嬉しい出来事でした。
また、学生と地域の皆さんとの間に温かな交流が生まれ、世代を超えたつながりが育まれたことも、とても感動的でした。
震災からの復興に向けて、微力ながらも地域に元気や活力を届けられたと感じられた瞬間は、私たちにとってかけがえのない喜びとなりました。
▼開催にあたって大変だったことは?
開催にあたっては、企画の立ち上げから会場選定、プログラム内容の検討、広報活動に至るまで、学生サークルと地域企業との連携調整に多くの時間と労力を要しました。
特に、参加者の皆さんが安心して楽しめるよう、椅子に座ったままでも無理なく取り組めるダンスの振り付けや、運動が苦手な方にも配慮したプログラムの考案には、試行錯誤を重ねました。
さらに、遠隔地での開催となるため、事前準備や現地での設営・運営に関する調整も大きな課題となりました。
▼今回のダンスの選曲・振付はどなたのアイディア?
今回のダンスの選曲と振り付けは、私が担当しました。
参加者の皆さんに親しみやすく、自然と口ずさめる楽曲として、美空ひばりさんの「お祭りマンボ」を選曲しました。70代・80代の方々にも馴染みがあり、楽しく乗れる曲を探すのは想像以上に難しく、親戚の叔母に何度も相談しながら決定しました。
振り付けは、日本の民謡である「炭坑節」や「ちょんがり節」に、オリジナルの「きえ節」をミックスして構成しました。基本的に椅子に座ったままで行えるように、体力や安全面に十分配慮して考案しています。
完成までには、介護職に就いている叔母に振り付けを見てもらいながら、安全性に問題がないかを何度も確認し、試行錯誤を重ねました。仕上げには、自分の祖父母にも実際に踊ってもらい、周囲の協力を得ながら、ようやく形にすることができました。
▼ワークショップを終えての感想は?
本当に皆さんが温かく迎えてくださり、私たちが元気を届けに行ったつもりが、逆にたくさんの元気やパワーをいただきました。
そして、このプロジェクトに共感し、共に珠洲市に集まってくれたサークルのメンバー、合同会社焼塩エイミーのお二人、協力してくれた親戚や家族。関わってくださったすべての方々に心から感謝しています。
私一人の力では到底成し得なかったことで、みんなに支えてもらったからこそ実現できたと強く感じています。本当に幸せです。
このワークショップを通じて、参加者の皆さんが心身ともにリフレッシュし、日常に新たな楽しみを見つけるきっかけとなっていれば嬉しいです。
また、学生と地域の方々、そして世代を超えた交流が生まれ、珠洲市の地域コミュニティがより一層活性化していくことを願っています。
ぜひ第二回の開催も実現させたいと思っています。現地のおばあちゃんたちにもっと喜んでいただけるよう、これからもさまざまなイベントを企画・開催していきたいと強く感じています。
以上、今回の主催者ZEN大学ダンスサークルの上原さんのインタビューでした。
上原さん自身お父様が七尾市出身で、縁ある能登の皆さんに少しでも何か力になりたいという強い想いを持って望まれたダンスワークショップ開催でした。
地域への深い想いと、自らの原体験を力に変えて行動する上原さんの姿勢からは、「若者にできる復興支援のかたち」を強く感じることができました。
被災地の人々に寄り添いながら、自分たちのペースで一歩ずつ前に進めていく。そんな取り組みが、きっとこれからの地域づくりにおいても大切なヒントになるのだと思います。
次回の開催も、心から楽しみにしています。
ZEN大学では、学生主体のサークルだけでなく、地域と連携したZEN大学独自のプログラムを開催しています。
主催・協力
- 主催:ZEN大学 ダンスサークル/地方創生サークル
- 共催:合同会社 焼塩エイミー
- 協力:珠洲市内地域団体、有志住民
- 取材:ZENニュース
合同会社 焼塩エイミーは、地元資源を活用した商品開発や地域づくりを行っており、今回のイベントでは会場調整や住民との橋渡し役を行っていただきました。